2013年10月9日水曜日

『本当は辛かったおばあちゃん』



実家で暮らすおばあちゃんから、電話がかかってきました。
いつもは仕事で忙しくしている僕を気遣ってあまり電話をかけてきません。

たまに僕からかけても、
「しんちゃん電話代かかってまうではよ切るでな」
って言って気を使ってくれます。

そんなおばあちゃんから
久しぶりに電話がかかってきました。
「しんちゃん元気か、ちゃんとご飯たべとるか」
って。

「元気だよ、ちゃんとご飯食べとるで大丈夫」



僕の声を聞いて、
おばあちゃんの話す電話の声が震えだしました。

僕にできる事は、
「大丈夫だよ、元気だよ」って
繰り返し答える事だけでした。

そうしたら、
泣きながら話すおばあちゃんが、一言、
「母さんもねえちゃんも喋ってくれんで
ばあちゃんさみしいんやわ」
って漏らしました。



普段から会話のない家族ではありますが、
おばあちゃんがそのさみしさを
はっきりと言葉にするのを聞いたのは初めてでした。





3年前におじいちゃんが
亡くなってからはいつも家でひとり。

話し相手もいなくて、
寂しさを紛らわすかのように
いつもテレビの前に座ってました。

きっと、
寂しさがこらえきれなくなって
僕に電話をかけてきたんだと思いました。



大切な人が、
さみしい時に側にいてあげられない事が
辛かったんです。

おばあちゃんの寂しさには気づいていたのに、
おばあちゃんが僕に頼ってこない事に甘えて、
仕事を言い訳にして、
おばあちゃんの心のケアを
怠っていた自分が情けなくなりました。



「まぁ、大丈夫やろ」っていう
勝手な思い込みは
ただの自分を守る言い訳でしかなくて、
手遅れになってから、気づいた時には
取り返しがつかなくて。

そんな事にならないように、
これからもっともっと家族とのつながりを
大切にしていこうと思いました。

明日、おばあちゃんに電話をかけてみる。
「おばあちゃん、今度一緒に温泉いこう!」
って。




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