2013年10月9日水曜日

『おばあちゃんのプロポーズ』



わたしのおばあちゃんは、某有名大学出身でとても頭も賢く、運動神経も抜群で、小さい頃はよく勉強やスポーツなど、色々とおばあちゃんに教えてもらっていました。

そんなおばあちゃんが大好きで尊敬していたし、誇りでもありました。

ですが、今はおばあちゃんに勉強を教えてもらっていません。



正確に言えば、教えてもらう事ができなくなってしまいました。

わたしが高校2年生の頃、おばあちゃんは痴呆症になってしまったのです。

今では、わたしの事も、実の娘のわたしの母親も分からなくなってしまって、いつもわたしたちに、「初めまして」とあいさつをしてきます。



唯一、旦那さんであるわたしのおじいちゃんの事は分かっているみたいだったけど、ここ最近になって、おじいちゃんの事も分からなくなってしまいました。

ですが、おじいちゃんは毎日笑顔で、懸命におばあちゃんの世話をしていました。





今年の年初め、家族みんなで集まって家でごはんを食べようとなり、久々に家族全員で集まることになりました。



家族の誰一人分からなくなってしまって、とても緊張をしているおばあちゃんに、おじいちゃんが笑顔で家族のみんなを紹介していきました。

すると、いきなり、おばあちゃんは真剣な顔をして、おじいちゃんに向かってこう話しをしたのです。



「あなたは、本当に素敵な方ですね。

いつも素敵な笑顔で、わたしに笑いかけてきてくれる・・・

あなたが笑ってくれたら、わたしはとても幸せな気持ちになれます。

もし、独り身なら、わたしと結婚してくれませんか?」



家族全員の前でのプロポーズでした。



おばあちゃんの逆プロポーズに、涙をぽろぽろこぼしながら、おじいちゃんは笑顔で、「はい」と答えました。




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