2013年11月11日月曜日

『ガンが治るくすり』



クリスマスの数日前、6歳の息子さんが欲しいものをサンタへの手紙に記していました。ご両親は「何が欲しいのかなぁ」と手紙を開けます。するとその手紙には切ない息子の祈りが詰まっていました。


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6歳の息子がクリスマスの数日前から欲しいものを手紙に書いて窓際に置いておいたから、早速何が欲しいのかなぁと妻とキティちゃんの便箋を破らないようにして手紙を覗いてみたら、こう書いてありました。



「サンタさんへ おかあさんのガンがなおるくすりをください! おねがいします」



妻と顔を見合わせて苦笑いしたけれど、私だんだん悲しくなって少しメソメソしてしちゃいました。



昨日の夜、息子が眠ったあと、妻は息子が好きなプリキュアのキャラクター人形と「ガンがなおるおくすり」と普通の粉薬の袋に書いたものを置いておきました。



朝、息子が起きるとガッチャマンの人形もだけれど、それ以上に薬を喜んで「ギャーっ!」って嬉しい叫びを上げていました。







早速朝食を食べる妻の元にどたばたと行って



「ねえ! サンタさんからお母さんのガンが治る薬貰ったの! 早く飲んでみて!」

といって、妻に薬を飲ませました。



妻が「体の調子が、だんだんと良くなってきたみたい」と言うと息子が、



「ああ! 良かった~。これでお母さんとまた、山にハイキングに行ったり、動物園に行ったり、運動会に参加したりできるね~」

……というと



妻がだんだんと顔を悲しく歪めて、それから声を押し殺すようにして「ぐっ、ぐうっ」って泣き始めました。



私も貰い泣きしそうになったけれどなんとか泣かないように鍋の味噌汁をオタマで掬って無理やり飲み込んで態勢を整えました。



妻は息子には「薬の効き目で涙が出てるんだ」と言い訳をしていました。

その後、息子が近所の子に家にガッチャマンの人形を持って遊びに行った後、妻が

「来年はあなたがサンタさんだね……。しっかり頼むね」と言ったので、

つい私の涙腺が緩んで、わあわあ泣き続けてしまいました。



お椀の味噌汁に涙がいくつも混ざりました。




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